10月後半の願いごと歳時記をお届けします。10月から11月にかけては、神嘗祭、新嘗祭・大嘗祭という重要な行事が続きます。まず、この3つの違いについて簡単にご紹介しましょう。
【神嘗祭(かんなめさい)】
毎年10月17日に、宮中と伊勢神宮とで行われます。
【新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい)】
毎年11月23日に、宮中と全国の神社で行われます。
【大嘗祭(だいじょうさい)】
天皇が即位の礼のあと、初めて行う新嘗祭のことを指します。そのため2019年の11月23日は「大嘗祭」となります。
伊勢神宮では年間およそ1500回もの様々な祭祀が行われていますが、その中でもっとも重要とされているのが神嘗祭です。その年に収穫された新穀を天照大御神にささげて、恵みに感謝するお祭りです。古くは9月17日に行われていたのですが、9月では稲が十分に育っていないため、明治12年から10月17日に行われるようになりました。伊勢神宮の外宮と内宮では、10月15日~17日まで祭典が行われ、その後、別宮など伊勢神宮のすべてのお社で25日まで続きます。お伊勢参りをしたい人はこの時期に行くと、年に1回の特別なお祭りも見ることができて忘れられない思い出となるのではないでしょうか。
ここで伊勢神宮やお伊勢参りについて、基本をおさらいしておきましょう。
【正式名称と宮社】
伊勢神宮の正式名称は「神宮」です。宮社は全部で125あります。
・天照大御神(あまてらすおおみかみ)をお祀りする内宮(ないくう)
・豊受大御神(とようけのおおみかみ)をお祀りする外宮(げくう)
この2つを正宮(しょうぐう)といい、この他に、14所の別宮(べつぐう)、43の摂社(せっしゃ)、24の末社(まっしゃ)、42の所管社(しょかんしゃ)があります。これら125の宮社すべてを合わせて「神宮」といいます。
【参拝は外宮→内宮の順で】
古来からの習わしで、お参りは外宮→内宮の順とされています。それは伊勢神宮の祭祀が、外宮→内宮の順で行われる(外宮先祭)ためです。外宮にお祀りされている豊受大御神が、天照大御神の御食事を司る神様であるため、このような順番で行われており、参拝もその順に従うという習わしになっているとのこと。外宮→内宮の移動にかかる時間ですが、通常はバスまたはタクシーで15分ほどです。ただ、私が訪れた時は日曜日であったためか、道路が混んでいて30分以上かかりました。なるべく時間に余裕をもって、お参りのスケジュールを立てるとよさそうですね!
【伊勢神宮の正宮では感謝のお参りを】
伊勢神宮はもともと、天皇が国の隆昌や国民の幸せを祈願する場所です。そのため個人的なお願いごとをするのではなく、日頃の感謝を捧げましょう。鳥羽の「石神さん」は、女性の願いごとを1つ叶えてくれる!そこで、個人的なお願いごとをするのにぴったりのお参り場所をご紹介しましょう。それは伊勢市のお隣、鳥羽市の神明神社内にある「石神さん」です。場所は近鉄鳥羽駅から車で25分、バスで行く場合は40分ほど。志摩半島の先端の相差町(おうさつちょう)にあります。古くから漁業が盛んで「漁師と海女の町」と知られる相差町。この地の海女さんたちが身の安全や大漁を願ってきたのが「石神さん」なのです。ご祭神は、神武天皇の母であり海神の娘である玉依姫命(たまよりひめのみこと)。全国から女性が参拝に訪れるため、休日は参拝者で溢れるそうです。
住所:三重県鳥羽市相差町1385番地
電話:0599-33-6873
また、「石神さん」のお守り袋には「ドーマンセーマン」の印がついていることでも有名。ドーマンセーマンとは、古来より志摩地方の海女さんが身につけてきた魔除けの印のこと。ドーマンは縦線と横線を格子状にした印、セーマンは五芒星のマークです。名前の由来ですが、ドーマンは蘆屋道満(あしやどうまん)、セーマンは安倍晴明(あべのせいめい)という、ともに平安時代の陰陽師の名からきたとも言われています。ちなみにこのお守りは、海女さんたちの手作りだそうです。お伊勢参りに行った際には、ぜひ足をのばしてお参りしたい場所ですね!
10月後半の記念日では「絹婚記念日」があります。1995年に、日本ネクタイ組合連合会と日本スカーフ協会が制定しました。結婚12年目の記念日は「絹婚式(きぬこんしき)」「亜麻婚式(あさこんしき)」と呼ばれ、「それならこの日に絹のネクタイやスカーフのプレゼントをしては?」と、二つの協会が呼びかけたのですね。結婚12年目となると、絹や麻など上質な素材でできたものも似合う年齢となっている頃。絹婚式を迎えるというカップルは、ぜひお互いにプレゼントを贈りあってはいかがでしょうか。ネクタイなど服飾品のほかにも、枕カバーやパジャマなどもプレゼントとして人気があります。絹は肌ざわりが良く、乾きやすいこともあって、寝具や寝間着としては最適ですね。
まとめ
10月後半のの願いごと歳時記として
・神嘗祭
・お伊勢参りの基本
・鳥羽の石神さん
・絹婚記念日
をご紹介しました。10月は全国各地で地域のお祭りもあります。秋祭りの多くは、その年の収穫に感謝して行われてきたもの。今年もあと3ヶ月。「今年、自分が“収穫”したものは?」と振りかえって、感謝しながら10月後半を過ごしてみるのもよいでしょう。
フリーランスでライターのお仕事をしています。関心のあることは、「月/星と人との関わり」「草花/樹と人との関わり」「幸せな気分でいることと、日々の習慣」など。https://silent-night.themedia.jp/