好きを仕事に!なりたい私を実現する

忙しい人のためのマインドフルネス

今年もあと2ヶ月余りとなりました。大人になるとあっという間に1年が過ぎていきますね。子供の頃は、1年1年がとても長く感じていたのに、歳をとるごとに時間が加速していくのはなぜなのでしょう。その理由の一つは、大人になるとやるべきことが多くなるからではないでしょうか。

たとえばフルタイムの勤めをしていたら、毎日7~8時間は仕事に費やされます。それ以外の時間に通勤、家事、お風呂や身支度、睡眠…etc.をこなすのですから、毎日が飛ぶように過ぎていくのは当然ですね。そしてあまりに忙しい日が続くと「この間から今日まで、自分は何をしていたんだっけ…?」と、その間の記憶が飛んでしまうこともしばしば。大切な自分の人生なのに、忙しくて何をしていたか思い出せないのは悲しいですよね!もしそんな日が続いていたら、マインドフルネスを試してみましょう。

マインドフルネスとは?

マインドフルネス(mindfulness)という言葉には、「注意していること、心にかけていること、今この瞬間に気づいていること」といった意味があります。元々、パーリ語の仏教用語であった「サティ」を英語に訳す時に、この「mindfulness」という単語が充てられました。1960年代にマインドフルネスは仏教思想や瞑想法としてアメリカに紹介され始めましたが、その後1979年に、アメリカ人生物学者によって「マインドフルネスストレス低減法」が生まれました。以降、仏教色を薄めたマインドフルネスは、医療分野、教育現場、また企業の研修にも取り入れられるようになります。

特にGoogle社でのマインドフルネス瞑想の実践が日本に紹介されると、一気にマインドフルネスが有名になりました。瞑想といえば、静かに座って目をつむり呼吸を整えて…というのが一般的なイメージかと思います。でも「座って瞑想なんて、忙しくてそんな時間も余力もない!」という人が実は多いのではないでしょうか。マインドフルネス瞑想にも座って瞑想する方法はあるのですが、今回は忙しい人でも生活しながらできる瞑想法をご紹介しましょう。

忙しい人には「食べる瞑想」が一番のおすすめ!

アメリカにマインドフルネスを紹介した人として有名なのは、ティク・ナット・ハンというベトナムの禅僧の方です。この方の著作は、難しい仏教思想もシンプルでわかりやすい言葉で書かれており、日本でも訳書が多数出版されています。私がその著作で知った瞑想方法で、とても気に入っているのが「食べる瞑想」です。

その中でもよく例として挙げられる「みかんの瞑想」をご紹介しましょう。

みかんって、日本では冬になるとコタツに入ってテレビを見ながら、あるいは家族とおしゃべりしながら食べるというイメージですよね。
包丁を使わずに皮をむけるので、何かをしながらでも無意識に食べられる手軽な果物です。このみかんをマインドフルに食べることで瞑想ができるのです。

  • まず、集中するためにテレビは消しましょう。
  • みかんを手にとって、外皮の香りを味わいます。
  • 手のひらにかかるみかんの重さも感じてみましょう。
  • 次に、丁寧に皮をむきましょう。
  • そして一粒を口の中にいれたら、目をつむってゆっくり味わいます。
  • 口の中に広がるみかんのジューシーな甘さ、歯ごたえ、飲み込むときの心地よさを感じましょう。
  • 一粒食べたら、次の一粒を口の中に入れて、同じように味わいます。

このように、味わうということに全意識を向けて食べるのが「みかんの瞑想」です。この食べ方をすると、ふだんより何倍もみかんを味わったという気持ちになります。そして、心が落ち着いてくるのを実感することでしょう。また、舌だけでなく五感を使ってゆっくりと味わうと、とても濃密な時間を過ごすことになります。意識的にゆっくり食べますから、みかん1個で30分くらいかかるかもしれません。ただ、忙しい人が30分をみかんに費やすのは厳しいかもしれませんね。その場合は、たとえば3粒だけでもそのように食べてみましょう。

例に挙げたのはみかんですが、これを毎日の食事に応用することができます。どんなに忙しい人でも、毎日必ず食事はしますよね。三食のうちのどこかで食べる瞑想をすれば、座る瞑想の時間をとれない人でも、生活に瞑想を取り入れることができるというわけです。でも、乳幼児を抱えている人は「食事中なんて子供に食べさせるのに精いっぱいで瞑想なんてムリ!」ということもあるでしょう。もし週に1回でも、お子さんの食事の世話を家族にやってもらえたらよいのですが、ワンオペ育児でそれも望めない…という人は、次にご紹介する「歩く瞑想」はどうでしょうか?

歩く瞑想

これは、仏教(禅宗)では「経行(きんひん)」「歩行禅」という瞑想法です。アメリカに紹介された時に「walking meditation」と訳され、それが日本に輸入されて「歩く瞑想」と呼ばれているのですね。この瞑想のやり方は、仏教の各派によって微妙に異なり、たとえば、臨済宗と曹洞宗とでは歩くスピードなどが異なります。

マインドフルネスの手法としても、

  • 1歩で吸って3歩で吐くなど呼吸と結びつける方法
  • 「いま右足を上げた」「いま右足をおろした」などと、行動を頭の中で言葉にしていく方法
  • 足の裏の感覚を意識する方法

など様々です。そのため、実際にいくつか試してみて、自分がいちばんやりやすい方法で行うとよいでしょう。私は、呼吸と歩数を合わせることはせずに、ゆっくり歩くことだけを味わうようにしています。座って行う瞑想は、つい集中力がとぎれて別のことを考えがちなのですが、「歩く瞑想」は不思議なほど集中力を保てるのが一番の魅力です。これなら、子育て中の方でもお子さんを連れて散歩する時や買い物に行く時などに応用できるのではないでしょうか。毎日通勤している人は、通勤の途中やお昼休みの気分転換に行うとよさそうですね。

まとめ

今回は、忙しい人でも日常生活に取り入れることができるマインドフルネスの実践法をご紹介しました。「今、この瞬間」に心をとどめていられれば、未来に対する不安や過去の出来事に心が乱されることなく、穏やかな気持ちでいられるというマインドフルネス。また、一瞬一瞬をていねいに味わうことで、何ということのないように見える日も、かけがえのない一日となっていきます。暑い夏も終わって過ごしやすい季節となった今、ぜひ試してみてくださいね。

三ツ森友香みつもりともか

Clover出版事務局からのお知らせ

人間関係にも役立つと言われているマインドフルネス。 苦手な人がいなくなる!新しいコミュニケーション術として話題を呼んだ、藤井 英雄氏による人気著書、マインドフルネス 「人間関係」の教科書はこちらからご購入いただけます。

現在お申込み可能なプログラム