こんにちは。三ツ森友香です。
今回は、9月後半の願いごと歳時記をお届けします。
9月後半といえば、まず敬老の日がありますね。かつては毎年9月15日と決まっていましたが、2003年から9月の第3月曜日となりました。敬老の日の始まりは1947年、兵庫県多可郡にあった野間谷村(現在の多可町八千代区)で、村が主催した「敬老会」とされています。開催日が9月15日となったのは、農閑期で気候もよいという理由だったことから、伝統的な節句などはあまり関係していないようです。
一方、中国の敬老の日は、重陽の節句である9月9日。9月前半の願いごと歳時記でもお伝えしたように、この節句は不老長寿や無病息災を願う日なのでぴったりですね。
「暑さ寒さも彼岸まで」とよくいわれます。9月もお彼岸の頃になると、ようやく残暑がおさまって過ごしやすい日が多くなりますね。
ここであらためて、秋分の日についておさらいしてみましょう。Wikipediaによると「秋分の日は、日本の国民の祝日の一つであり、祝日法により天文観測による秋分が起こる秋分日が選定され休日とされる。通例、9月22日から9月23日ごろのいずれか1日」
続いてお彼岸です。同じくWikipediaによると「彼岸とは、雑節の一つで、春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた各7日間(1年で計14日間)である」つまり秋分の日を中心にして前後3日間ずつ、計7日間がお彼岸ウィークというということになります。
2019年はこのようになります。
このように、お彼岸と秋分の日は一つのセットとして考えるとよいでしょう。そしてこの一週間の過ごし方は、感謝と振りかえりをメインとするのが本来の趣旨に合っているといえそうです。開運やお願い事よりはご先祖様への感謝を中心に、その前後には自分自身を振り返るのですね。仏教では、秋分の日にご先祖様へ感謝し、その前後6日間は、6つの行をする、と勧められています。
仏教では、
・秋分の日(お彼岸の中日)は、ご先祖様に感謝する日。
・その前後の6日間は、仏教の6つの行い(六波羅蜜)を1日に1つずつ行う期間
とされています。
6つの行い(六波羅蜜-ろくはらみつ 或いは ろっぱらみつ)とは次のものです。
1.布施(ふせ)…分け与えること
2.持戒(じかい)…規律を守ること
3.忍辱(にんにく)…怒りを捨てること
4.精進(しょうじん)…努力すること
5.禅定(ぜんじよう)…心を安定させること
6.智慧(ちえ)…物事や真理をよく見て判断すること
…どうでしょうか。1日に1つといっても、それぞれの項目が、人生の長い期間をかけて取り組むような大きなテーマですよね。実際、仏教者の方はこの課題を日々修行しておられるのでしょう。でも私たちがこの6つをお彼岸期間にやってみるなら、何か身の回りでできることを一つすればよいのだと思います。
たとえば、1.の「布施」でしたら、
・どこかに寄付をする ということの他にも
・誰かに笑顔を向ける
・家族に優しい言葉づかいで話す
といった金品の寄付以外のことも「布施」の行いになります。
自分にとって「布施-分け与える」とはどういうことかな?と考えてみるきっかけにもなりますね!
お彼岸の先祖供養といえばお墓参りですね。私はお墓を掃除し終えると、なぜか気分がスッキリとします。住宅地にある小さなお寺の墓地なのですが、車通りが少ないこともあり、そこだけ静かな空間になっているせいかもしれません。静かな場所で黙々と作業するというのが良いのでしょう。
お墓参りは先祖供養であると同時に、自分供養でもあるのかなと毎回思います。でもお墓のある場所が遠くて、そもそもお墓参りには行けないという方もおられますよね。そのような場合は、ご自宅でご先祖様に感謝の時間を持つとよいでしょう。
最近は、仏壇の無いおうちも増えていると思いますので、窓辺やキャビネットの上など、どこか片づいている場所にお花を生けて「いつも見守っていただき、ありがとうございます」と手を合わせて感謝をしましょう。そのあと「これからもよろしくお願いします」とお願いしてみてはどうでしょうか。肉親やよく知っている親戚ですでに亡くなった方がおられる場合は、故人の好きだったお菓子や果物なども供えてもよいですね。
お彼岸用の花は、花屋さんでもスーパーでもよく見かけますよね。最近は菊のほかにもワレモコウなどが入っていたりと、秋の風情が感じられます。では、秋分の日(9月23日)の花はどうでしょうか?日比谷花壇の「365日の誕生花・花言葉」というサイトだと、「9月23日の花は嵯峨菊・花言葉:フェミニン」となっています。
京都の嵯峨で伝統的に育てられてきた菊で、糸のような可憐な花びらが特徴です。一般の花屋さんではあまり置いていない菊なので、もし見かけたら幸運の印かも?ぜひ買ってみてくださいね!
では最後に、秋分の日と古代文明の関係を見てみましょう。古代文明では、冬至・夏至とともに、春分の日と秋分の日がとても大切に扱われており、この日にだけ特別な現象を見られる遺跡があります。
春分と秋分の日だけ、入口から差し込む朝日が神殿の奥深くまで届き、そこに据えられている神々の像を次々と照らしていきます。冥界の神であるプタハ像にだけは光があたらないように設計されているそう。
エジプト三大ピラミッドの中で最大のもの。4面体で構成されていますが、春分の日と秋分の日だけ、それぞれの面の真ん中にある縦線のくぼみがくっきりと見え、8面体に見えるそうです。
マヤ文明のピラミッド遺跡。春分と秋分の日だけ、ピラミッドの側壁に、ククルカンという大蛇の神様の姿が現れます。これは太陽の当たり方による現象で、ククルカンの降臨と呼ばれています。
まとめ
占星術の世界では、春分の日が1年のスタートで、秋分の日が折り返し地点とされています。仏教でも、お彼岸の6日間は自分の行いを振りかえり、行動に移す期間であるとご紹介しました。その意味でも、秋のお彼岸は自分の振りかえりの節目とすることをおすすめします。
スッキリした心で1年の後半を迎えましょう!
フリーランスでライターのお仕事をしています。関心のあることは、「月/星と人との関わり」「草花/樹と人との関わり」「幸せな気分でいることと、日々の習慣」など。https://silent-night.themedia.jp/