ある日偶然目にしたことから、願っていた以上の人生を歩むことになったら…?こんにちは。三ツ森友香です。社会的に活躍している方の話でよく「偶然の出会いが今の道を進むきっかけになった」という言葉を耳にしたことはありませんか。また「たまたま予定がなくなった日に、友達から誘われてパーティーへ行ってみたらそこで人生のパートナーと出会った」という話も一度ならず聞いたことがあるのではないでしょうか。
みなさんの中にも実際、そんな経験のある方がおられるかもしれませんね。また「そこまで大きなターニングポイントにはならなかったけれど、ちょこちょことしたラッキーな体験ならある!」という方もいらっしゃるかも?こうした素敵な偶然は、ただ起こるのを待っているしかないのでしょうか?いいえ。それにはちょっとしたコツがあるのです!今回は、偶然の幸運をキャッチしやすくなる方法をお伝えしましょう。
セレンディピティ(Serendipity)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?『大辞林』第三版では、次のように説明されています。
思いがけないものを発見する能力。特に、科学分野で失敗が思わぬ大発見につながったときなどに使われる。〔おとぎ話 The Three Princes of Serendip の主人公たちがこの能力をもっていることから。イギリスの作家 H =ウォルポールの造語〕
このおとぎ話『The Three Princes of Serendip』(セレンディップの3人の王子)の「セレンディップ」がセレンディピティの語源です。セレンディップとはセイロン島のことで、現在のスリランカにあたります。では、物語のあらすじを簡単にご紹介しましょう。
セレンディップの3人の王子たちが旅に出て、ある日、自分のラクダを見失ってしまった男と出会います。王子たちはラクダを見かけてはいませんでしたが、通ってきた道の様子を思い出しながら、男にそのラクダの特徴を伝えます。「道端の片方の草しか食べられていないから、そのラクダは片目が見えないはず」と。その話を聞いたペルシャの皇帝が感心して3人の王子を重用し、さまざまな問題を解決させます。その後3人は故郷に帰り、それぞれ別の国の王様となってめでたしめでたし。
この物語からもわかるように、セレンディピティは「自分の知識や知恵を使って、目にしたものからひらめきを得て幸運をつかむ力」といえるでしょう。単なる偶然だけで幸運を手にいれることではないのですね。またセレンディピティは、科学の分野で失敗が思わぬ発見につながった時にも使われる言葉です。
身近なものだと、面ファスナーが挙げられます。面ファスナーはご存じのように、面と面がからまるようにしてくっつくという便利な商品ですよね。これは、スイスのジョルジュ・デ・メストラルというエンジニアが1960年代に特許出願したものなのです。発明のきっかけとなったのは、メストラルがアルプスを登山した時に、自分の服や愛犬にゴボウの実が貼りついたことでした。メストラルはそのゴボウの実を顕微鏡でよく観察し、面ファスナーの仕組みを考えついたといいます。このように、セレンディビティといわれる発見は、何も努力せずになされるものではありません。そのことについて日ごろから考えつづけていた時に、ふと目にしたものからひらめきを得て新発見に結びつくというものなのです。
では、セレンディピティをキャッチするにはどんなことを心がけているとよいでしょうか?
2001年の映画で『セレンディピティ 恋人たちのニューヨーク』(主演:ジョン・キューザック、ケイト・ベッキンセイル)という作品があります。クリスマス前のニューヨークで、偶然同じ商品に手をのばしたジョナサンとサラ。何となく惹かれあい、その夜スケートリンクでデートをします。帰り際に古本と5ドル札にそれぞれの連絡先を書いて別れます。お互い恋人のいる身でしたが、何とか再会できないかと試行錯誤し、そして…という物語。ネタバレになりますのでこれ以上は書けませんが、主人公たちはただ待っているのではなく、自分の中のひらめきを信じて行動します。お互いすでに恋人がいるのに、出会った時に何かピンとくる運命的なものを感じたのでしょう。このように運命の恋を貫くには、自分の中の直感に従って、「もうダメかも?」という状況の中でもあきらめずに行動する。そうすると偶然の幸運がやってくる。そのことをこの映画は教えてくれています。
それでは、直感やひらめきはどうしたら得られるようになるでしょうか?いろいろな方法がありますが、今回は手軽にできる方法をご紹介しましょう。散歩や、ジョギング、または通勤の電車の中でもできる直感の鍛え方です。それは、空の雲を見て「今日の雲は、自分にどんなことを伝えたがっているかな?」と考えてみるというとてもシンプルな方法。常識からいえば、「雲が何かを伝えたがっている」なんて考えられませんよね!?でも、そこをあえて考えてみるのです。考えるというより、心で感じてみるといった方がよいでしょうか。自然界から日々何かメッセージを読み取ってみる。それを続けていくことで、直感力が鍛えられていきます。
幼い子って、妙に真理を突いたことをたまに言いますよね。大人のように論理的に考えたり説明する力が未発達だからこそ、子どもは直感的に物事をとらえる力が優れているのでしょう。私たち大人は学校教育やら仕事やらで、常識といわれるものが身にしみついてしまい、自然界のメッセージを聴き取る力が衰えてしまっています。でも子どもは、道を歩けば虫や昆虫、雑草ともおしゃべりをしたりと、感覚が自由で常識にとらわれていません。直感やひらめきに必要なのは、子どものような心の自由さと新鮮な視線。大人になるとたいていのものはもう見慣れていて、目新しくものをしげしげと見ることもなくなっています。ひらめきや直感というのは、それまで考えていたこととは関係のないモノを見て不意にやってきます。それには、日ごろから自然を見て「何かを自分に伝えようとしているとしたら、それは何?」と考えてみたり、常に新しい目でものを見るという習慣をつけるとよいのですね
まとめ
このように、直感力やメッセージに気づきやすくなる力–気づき力というべきものを養う方法をお伝えしてきました。これが、偶然を装ってやってくる幸運に気づくことへとつながっていきます。素敵な幸運を見逃さず、積極的につかんでいきましょう!
三ツ森友香
フリーランスでライターのお仕事をしています。関心のあることは、「月/星と人との関わり」「草花/樹と人との関わり」「幸せな気分でいることと、日々の習慣」など。https://silent-night.themedia.jp/