好きを仕事に!なりたい私を実現する

伝えたい気持ちを言葉にするだけでいい

クローバー出版ファウンダー会長・小川泰文

忘年会シーズン到来です。スピーチの出番が増える時期ですね。人によっては、クリスマスに向けて愛の告白を予定している人もいるでしょう。

さて、何かのスピーチ、講演、挨拶など人前で話さなくてはならないシーンというのは誰にでも訪れるものですが、そんなとき話すのが苦手だという人もなかにはいますよね。実は私も過去、話すのが大の苦手だったひとりです。そうは、見えないでしょう。でも、本当なんです。

以前は、私もこんな感じでした。

話すのが決まるとソワソワして、手に汗は握り、口は乾き・・。

  • 何を話そうか・・・
  • あれをいえば・・・
  • これを言えば・・・
  • これを言ったらどんな反応になるだろう・・・。

あ、あの本になんかいい言葉が書いてあったからあのフレーズを引用してみよう!こんなとき頭のなかは、もうエンジンの回転数レッドゾーンです。多くの場合、気持ちがいったりきたりしながら、話す順番を用意したり、紙に書いて何度も読み返したりしていたのです。なにせ、私のオヤジは草野球の選手宣誓で緊張してセリフ忘れたヤツでして、〝ノミの心臓DNA〟を見事に受け継いでいるわけです。

ところが、ある日、緊急事態が訪れたのです。

5年前、福岡でお世話になっていた鈴木克彦さんという方のパーティーに参加した際に、突然、15分程度のスピーチをその場で依頼されました。ありがたい反面、私のほかに話をする予定の人を改めて見ると・・・・みんな著者で有名な人ばかり。そんな著名が並ぶ、ちょうど中間の順番で話をすることになったのです。当然、絶体絶命のピンチ。話すことなど用意していませんでしたし、しかも15分というのはうまくまとめるには微妙な時間です。詳しくも話せないし、かと言ってざっくり話せば薄くなる。私は、会場を楽しむどころか、会場の外に出て頭を抱えて紙を取り出し、何を話すか一心不乱に考えました。しかし、どうしてもまとまらないのです。「著名な人の前でこの程度の話をしたところでなんだつううんだよ・・・」と自分でツッコミを入れてしまう。しかし、話す順番はもうそこまで来ています・・・。まさに絶体絶命。

そんなときに救世主が現れました。

悩んでいる私の元に来てくれたその方は、こう言いました。

あなたが一番伝えたいことはなんですか?もしも、大切な人を目の前にあなたがこれから話すとして伝えてあげたいことはなんですか?それを伝えるとききっと誰にどう思われるなんて気にしないで一生懸命に心から伝えるはずです。有名なひとなんて気にせずに、あなたを必要としている人だけを見て話したらいいんですよ。今、そこにある紙に書かれていることはきっといいことは書いてあっても、心には響かないかもしれません。あなたの言葉でたった1ついでいいから、一番伝えたいことを心から出てくるままに話しませんか?私はあなたの心から出る話が聞きたい。だから私を見て話してください。

そういって、立ち去りました。そしてどうやら私のスピーチの順番が回ってきたようで・・・。

私は壇上にあがり、まず、その紙を取り出し正直に言いました。「あれこれと考えて、このメモを書きましたが、これは私の話ではありません。もしかしたら、スキルや知識は他の方々に敵わないかもしれませんが、私は私が一番大切にしていることを、ここで話します。」と、その紙をしまい、まったくのノープランで話しはじめたのです。

不思議なことに意外にも、何かを用意していない状況のほうが、自分はこんなことを考えていたんだ?と自分が自分ではないような感覚でどんどんと言葉がでてきます。おそらく話している内容そのものは他の人も話しているようなレベルのものだったと思いますが、実際に具体的な事例に基づいて伝えたところ、なぜかとても反響がよく、終わったときには「あれ?俺、何を話したんだっけ?^^:」という感覚でした。

ポイントの整理
■話すテーマのなかで、大切な人が目の前にいると想定して
■本気でその人のために伝えたいことはなにか?を話す。
■自分がどうみられる、結果を手にすることを考えず
■その人のために伝えることだけに集中する

 

こんなにシンプルなことだったのか・・・。と、このとき学ばせていただいたように思います。

※もちろんプロの方のノウハウはあると思いますが、根本的な話です。よく降りてくるとか、潜在意識が話しているなど言いますが、何かその感覚が私にはわかるような気がしました。さて、あれからちょうど5年が経ち、なぜか、あちこちで講演、セミナー、スピーチや挨拶などするシーンが急激に増えましたが、あれ以来スピーチなどはメモも用意することなく話すようになり、セミナーなどでは資料は当然つくるものの、話す内容はその場のアドリブになりました。以前に比べたらずいぶん楽になったように思います。

救世主様のあの言葉が今でも忘れられません。

伝えたい気持ちを、言葉にするだけでいい

トークショーなどやるようになった自分があの頃からは信じられませんね。スピーチも愛の告白も、カッコつける必要はありません。不器用でもなんでもいいんです。心から出ている言葉かどうか。それが一番大事で、言葉が綺麗かどうかなんてどうでもいいことなんです。

 

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